シネサルの「映画のブログ」

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 『インセプション』 ★★

【原題】"Inception" 意味「発端。人の心に、作られた記憶を植え付けること。」
2010年、アメリカ、カラー、1:2.35、35ミリ上映、35ミリ撮影、ドルビーデジタル/DTS/SDDS、148分、英語&日本語&仏語(日本語字幕)
【監督&脚本&製作】クリストファー・ノーラン、他
【出演】レオナルド・ディカプリオ渡辺謙ジョセフ・ゴードン=レヴィットマリオン・コティヤールエレン・ペイジトム・ハーディトム・ベレンジャーマイケル・ケインピート・ポスルスウェイト、他
2010/07/29(木)10:30-13:10鑑賞、MOVIX橋本5、約40人/約200席
 ストーリーの骨子は、ディカプリオ演じる主人公の家族に対する想い、特に妻に対する想いであると思われ、その想いが実体化する点については、まるっきり『惑星ソラリス』(★★★★)みたい。


 一方、ノーラン監督は以前から話の枠組みに対して特に執着しているようで、反面それ以外のドラマや見せ場や演出が、枠組みのための方便に過ぎず、おろそかになっていて物足りなさを感じた。
 その枠組みとは、『メメント』(★★)なら「映画が進むにつれて過去に戻ること」、『プレステージ』(★★)なら「手品のタネの謎」について、そして『インセプション』は「夢の中でさらに夢を見ること」と「夢の世界が現実と区別がつかないこと」で、そんな超現実なことを映画で表現することを目指しているように思える。
 この執着心に対する私の不満は、「枠組みってそんなに大事なことなの? 枠組みよりもその中の登場人物の感情やドラマの方が大切なんじゃないの? お客さんにとって重要なのは『複雑なものを観た』と感じることではなく、『いい思いをした』と感じることじゃないの?」ということである。


 で、結局『インセプション』は、「夫婦愛」と「夢の世界」と、もしくは「アクションなどの見せ場」、どれを重視した作品なんだろう?
 「夢の世界」なら上記の不満が相変わらず残る。
 「夫婦愛」だとしたら、それを自然に作品の中心に据えていた『惑星ソラリス』に比べて、『インセプション』の設定の複雑さや無関係な見せ場は主題を邪魔しているだけにしか見えない。
 「見せ場」だとしても、設定の複雑さは気が散らされるだけでわずらわしい。
 1つの強い求心力に観る者の心を引きつけるような作品を観たかった。
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