2006年 日本 カラー 1:1.85 大半がビデオ撮影 35ミリ上映 アナログ光学(DTSステレオ) 110分
原作:夏目漱石
全体的には、短編特有の食い足りなさを払拭しきれず、これは!というような作品が無かった。
「プロローグ」「エピローグ」 ★☆
監督:清水厚 出演:戸田恵梨香
戸田恵梨香ちゃんには、もっと明治らしい演技をきちんとつけてやるべき。
「第一夜、百輭」(ひゃっけん。けんはもんがまえに月) ★★
監督:実相寺昭雄 脚本:久世光彦 出演:小泉今日子、松尾スズキ、寺田農、他
昨年末に亡くなった実相寺監督の遺作? 百輭にサラサーテで、清順の『ツィゴイネルワイゼン』を連想させる。ストーリーは時間が前後してやや複雑だが、映像は斜め構図にセットの裏側まで見せるなど凝りまくっているものの破綻は無い。
「第二夜」 ★☆
監督:市川崑 出演:うじきつよし、中村梅之助
ストーリーは小さくまとまった感じ。例によって市川監督は行灯に照らされた夜の室内のシーンを凝った照明で描いているが、ビデオ撮りで画面が汚い。
「第三夜」 ★★
監督&脚本:清水崇 出演:堀部圭亮、香椎由宇、他
短編慣れしているせいか、清水監督によって手堅くまとめられていて、短い尺をきっちり盛り上げてきっちり落としている。
「第四夜」 ★
監督:清水厚 出演:山本耕史、菅野莉央、他
山本耕史の芝居がおざなり(悪いのは彼ではなくて芝居をつけさせている監督の方)なことに代表されるように、全体的に締まりの無い出来。
「第五夜」 ★★
監督&脚本:豊島圭介 出演:市川実日子、大倉孝二、他
清水崇監督同様、豊島監督も短編慣れしているせいか、短い尺をきっちり盛り上げてきっちり落としている。
「第六夜」 ★★
監督&脚本:松尾スズキ 出演:阿部サダヲ、TOZAWA、石原良純、他
「そういえば、この映画って夢を扱っている映画で、こういう夢を見る人物像に想いを馳せる映画だったんだ…」と改めて思ったオチは良かった。オチ以外は別になんとも…。
「第七夜」 ★
監督:天野喜孝、河原真明
アニメにありがちな、作品の「世界観」を作ることにこだわって、それを観客が受け入れられるかには全く無頓着な映画。第一印象で面白いと思えなければ、あとは次第にスクリーンから気持ちが離れていくだけ。
「第八夜」 ★☆
監督:山下敦弘 出演:藤岡弘、、山本浩司 、大家由祐子、他
飛躍するストーリーに頑張ってついていったら、結局ストーリーは無いに等しかった。これって原作どおり? 脈絡の無さがまさしく「ユメ」ということなのだろうか?
「第九夜」 ★★
監督&脚本:西川美和 出演:緒川たまき、ピエール瀧、他
十作品中一番シンプルなストーリーなので、長編映画のようにじっくり作られていて、和服姿の緒川たまきのアップも堪能できる。
「第十夜」 ★★
監督:山口雄大 脚本:山口雄大、加藤淳也、漫☆画太郎 出演:松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二、板尾創路、安田大サーカス(団長安田、クロちゃん、HIRO)、他
思いつきで展開していくような無茶苦茶なストーリーを、勢いで最後まで押し切ってみせた。
(さらに詳しい感想を掲載予定)
2/03(土)11:30〜13:35 シネ・アミューズ イースト 約40人/132席