シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

 「Macをはじめよう。」のCMを素人が真に受けちゃったら… ★

 去年の暮れあたりから、ラーメンズが出演している「Macをはじめよう。」のCMが流れている。
 PCに詳しい人ならあんなCMに乗せられないだろうとはいえ、素人が真に受けちゃってMacを買って使ったら、いろいろと問題になることが考えられるから指摘しといた方がいいかなぁと思いつつ、1つ1つ検証していくのが面倒くさいと思って二の足を踏んでいたところ、ITmediaで「“ボクは平気?” Macにもセキュリティ対策が必要な理由」という記事が載っていたので、それを利用することにする。
 この記事でインタビューに答えているのは、Mac向けのセキュリティ対策ソフトも売っているSymantecの人なので、「(セキュリティ対策ソフト無しでは)Macも危ない。」という方向にバイアスがかかっている意見を言っている恐れがあることを考慮しながら読んだのだが、結論を言うとバイアスがかかっている印象はほとんどない公正な内容で、Macの強いところとそうとは言えないところを切り分けした上で、後者に対しての危険性を説いている。強い部分に対しても「危ない」と言うなどの無茶な意見はない。
 これに対してMacのCMはどうかというと、
  【1】(パソコン編)
     MacMacはウィルスは大丈夫」
     パソコン「(ウイルスにかかって)やばい、クラッシュします。」
     M「それで楽になるの?」
     パ「そう思いまーす。」
となっていて、これをテレビで見て、「Macはウィルスは大丈夫」と額面どおり受け取る人がいても不思議ではない。
 でも、アップルのサイトのウイルスについての記述をみると、最初は太字で
  【2】「ウイルスに感染する心配はありません」
と言い切っておきながら、さらに本文を読み進めると、
  【3】「Macは毎週アップデートをチェックするように初めから設定されているので、セキュリティアップデートを自動的にダウンロードします。」
と書いているので、つまりは問題がないのではなく、問題を頻繁に修正しているというということであり、さらには小さい文字で、
  【4】「さらにウイルス対策を強化する場合には、セキュリティソフトウェアを導入されることをお勧めします。」
と、素のMacでは万全ではないことをはっきりと書いちゃっている。
 すなわち、「Macはウィルスは大丈夫」といううたい文句は、外面を良く見せているだけで、実際は大丈夫じゃないということである。
 「大丈夫」とか「心配はありません」という言葉に何の条件もつけられていないので、これは「未来永劫1台の例外も無く大丈夫」と解釈でき、仮に異常が発生して大丈夫じゃなかった場合、「CMはウソだった」とCMをダシにしてアップルに苦情を通すことができるんじゃないの? まあ、器械の故障や不良や設計ミスが0%なんてことはありえないのが当たり前なんだけどね。
 でも当たり前なら、「Macは(100%)大丈夫」なんて言い切れるはずも無いことをCMで言い切っているのは、知ってて事実と違うことを言っているということで、一種の捏造なんじゃないの?

 さらに、もうすこし細かい話をすると「セキュリティ脅威」の一部である「狭い意味での」「本来の」ウイルスは、【1】のMacのCMのようにパソコンを誤動作させるものだが、、ITmediaの記事に書かれているように、「広い意味での」ウイルスといえる「セキュリティ脅威」は、PCの外部のネットワーク上に主流が移っていて(代表例はフィッシング詐欺)、ここではパソコン(=Windows)とMacの違いは無くなる。
 つまり、MacのCMはWindowsMacの違いの影響が大きい、一昔前の古い時代のウイルスのイメージを盛り込んであきながら、新しいタイプの脅威には触れていないので、「ウイルス」と「セキュリティ脅威」の区別がつかない初心者が、「Macはセキュリティ脅威に対して万全」と誤解しやすいような作りになっている。
 そして、そのように誤解したMacの初心者が、セキュリティに対しての危機意識を持たずに無防備なままで使い続けるうちに、「フィッシング詐欺」などで大金や個人情報を本人が気づかないまま盗まれることが最悪のシナリオであり、MacのあのCMはそのような状況へと初心者を向かわせる恐れがある。

 以上、最後の方がちょっと専門的になって解りにくかったかもしれないのが、ここであるある大事典」の教訓を生かせば、たとえ専門的なことは解らなくても、あるあるやMacに限らず怪しいうたい文句にひっかかることはなくなるだろう。すなわち、
 (1)「食べるだけで楽にやせる」「Macは大丈夫」みたいな夢のような期待を持たせる言葉と、「ダイエット効果がある」「Macは信頼性が高い」といった慎重な言葉づかいと、どちらが信頼できるか?
 (2)「やせる」「Macは大丈夫」といった結論に向かって一直線の論法と、「本当にやせるか?」「やせる場合とやせない場合もあるのでは?」「(ITmediaの記事のように)Macには強い部分だけでなく弱い部分もあるのでは?」といった広範囲に渡る検証や考察をしているものと、どちらが信頼できるか?
 (3)テレビ番組の情報やCMでの製品の説明など、誤解を招くような作りをすることが許されないにもかかわらず、誤解されそうな表現だったり曖昧だったり逆に「大丈夫」と言い切ったりするなどしてるのは、本当に信用できるか? (Macの場合は、意図的に「パソコン」をダサく見せてもいるしね。どこの世界に円グラフや電卓を自慢する「パソコン」ユーザーがいるんだ? まあ、でもこれは不当に表現してるとも象徴的な表現で揶揄してるだけともどちらにも言えそうだけど。)