シネサルの「映画のブログ」

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 『ORANGING '79』 ★★☆

1979年、日、カラー、1:1.33、8ミリ撮影、8ミリ上映、25分
【監督&脚本&製作&撮影】今関あきよし
【出演】三留まゆみ手塚眞、他
2008/07/08(火)14:00〜14:50、フィルムセンター小ホール、約20人
 主人公の三留まゆみさんをフィーチャーして彼女を中心に撮った、これといってストーリーの無い映画。
 監督が三留さんに具体的に対して何らかの感情を抱いていたのかいなかったのかは判らないが、自分の好きなもの(人)をフィルムの中に収めたいという、誰でも身に覚えのある思いが感じられる。
 言わば「純粋なまでに不純な映画」で、「(いい映画に作り上げて良く)見せたい」という思いより「撮りたい」思いが勝っているのは、アマチュアの映画を作る目的としては全くもって正しい。
 冒頭の「映画が始まりますよ〜。タイトルは、『おれんじんぐ ななじゅうきゅう』」という三留さんの甘ったるい声のナレーションを聞いた時点で、既にゾクゾクワクワクした気分にさせられる。
 一方、第三者である私が観客として観た感想を書くと、三留さんの表情をもっと見たいと思ったのだが、10代の彼女は40代の今でもほとんど変わらない見た目の通り、髪の毛の量が多くて表情が判りにくく、もっと見せる配慮があってもいいかな?と思った。
 以下、『ORANGING '79』以降の今関監督について書くと、彼の作品を最初に観たのが『アイコ十六歳』(1983)で、これだけにはとても感激して大好きなのだが、その後の『グリーン・レクイエム』(1988)と『りぼん RE−BORN』(1988)にはかなりガッカリした記憶がある。
 その理由は、例えば『グリーン・レクイエム』は切ないストーリーなのだが、そんな映画とは不釣合いに、鳥居かほりをメルヘンチックに撮ったシーンがあったりして、映画に浸りたい観客の気持ちを無視して、浮かれた気分で撮ったという印象を受けた。
 結局今関監督は、アマチュアとしては良かったのだが、プロとして観客に見せることを最優先ににして、そのために自分自身を厳しくコントロールしなければならないという点に問題があったのではないかと思う。