2009年、日本、カラー、1:1.85、35ミリ上映、134分、日本語
【監督&脚本&原作&アソシエイトプロデューサー】小林政広、他
【出演】 仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島千景、柄本明、美保純、戸田菜穂、香川照之、他
2010/05/11(火)18:30-21:20鑑賞、よみうりホール、約90%
観ている間、どうにも居心地が悪かった。
その最大の理由は、見せて欲しいと思っていることが見せられていなかったから。
その見せて欲しかったものは、物語のバックグラウンドにあたる部分。
この映画は、老人(仲代達矢)が飛び出すように家を出て、彼と2人住まいをしていた孫娘(徳永えり)が仕方なくついて行くところから始まり、最後まで非日常状態なのだが、そのストーリーの中で次第に気になってくる、この2人の家での日常はどんな感じだったのかが、全く描かれない。
また、孫娘が何を考えているのかもほぼ全編判りににくいままで、特に小さい頃に家を出た父親と最近死別した母親に対する想いが特別なものだったのだが、そんな重大なことが最後の最後まで観客に明かさないというのも不可解である。
老人の言動や性格も、シーンごとに同一人物と思えない程コロコロ変わっているのも、撮影がフィックスの長回しが基本で全体にぶっきらぼうな印象も受けるのも、映画との距離が離れる結果になっている。
以上の手法の意図を一言で言うと、「反ウェルメイド」なのかな?とも思う。
映画の作り手と観客の間に予定調和を廃して不親切な映画にすることで、馴れ合いの関係ではなく頭を使って踏み込んで観て欲しいと思ったのか?
でも、ストーリー的には「離れて暮らしても存在し続ける家族の関係」の映画なのに、そんな自然で普通な物語を、不自然を狙った手法で距離感を感じる映画にした理由がさっぱり解らない。
反ウェルメイドは結構だが、結果的にはその必然性が解らない以上、普通にウェルメイドな映画だった方が良かったと思ってしまう。
あと、BGMが延々と鳴り続けるのも、あれを良いと思う人がいるとは思えない。
(もっと詳しい感想がこちらに載るかもしれない)
.