1967年、日本、モノクロ、1:2.35、96分、日本語
【監督】森川時久
【出演】田中邦衛、橋本功、山本圭、佐藤オリエ、小川真由美、井川比佐志、石立鉄男、栗原小巻、大滝秀治、江守徹、他
2013/11/05(火)鑑賞、NHK-BSプレミアム
<感想>
4男1女の兄弟を中心に、貧しい状況にある若者たちが、学生生活、受験、低学歴、劣悪な下請けの労働環境、被爆者への根拠のない差別などの問題に直面しながら、家族や恋人同士の絆を深めていく話。
今となっては、貧しさを中心にすえての映画の新作は考えられないので、もはや「時代劇」といっていい。
しかし、当時としては、貧しさは切実な問題だったことがうかがえる。
何しろ、その日その日を乗りきっていかないと、落ちこぼれてしまっては這い上がるのが困難になるのが目に見えて解るから、みんな頑張っている。
家族の喧嘩だって本気度が違う。
リアルタイムで時代を描いた本作のような過去の映画を観れば、『ALWAYS 三丁目の夕日』における泥臭さなんて、いかに綺麗事かがよく判るというもの。
「原爆の被爆者と結婚すると奇形児が生まれる」という誤った認識を解くことに、割りと長い時間を割いているのだが、戦後20年以上も経った当時でも非現実的な誤認識が蔓延していたことが判り、映画が誤解を解くことに率先して関わっていたことがうかがえる。
翻って今は、歴史は繰り返すを地でいくように福島県差別が見受けられ、 しかもデマや差別の拡散を一部芸能人や元俳優が行っているのを見ると、いろいろと情けなくなる。