シネサルの「映画のブログ」

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「スパイ大作戦『終わりなき戦火(第三次世界大戦勃発)』」 ★★

【原題】Two Thousand(意味「西暦2000年」)
シーズン7、第2話
1972年、アメリカ、カラー、1:1.33、35mm、英語、吹替、約47分
【監督】レスリー・H・マーティンソン【脚本】ハロルド・リヴィングストン【エグゼクティブプロデューサー】ブルース・ゲラー
【出演】ピーター・グレイヴス、グレック・モリス、リンダ・デイ・ジョージ、ピーター・ルーパス、ヴィク・モロー、他
2018/05/08(火)17:58再放送、BSジャパン、2018/05/08(火)鑑賞
<ストーリー>
 核物理学者のコリンズ(モロー)が核爆弾の原料のプルトニウム50kgを研究所から盗み出し、取引相手である某国のヘイグと名乗る男が電話で彼に「明後日の正午に隠し場所に行って回収する」と話したのを捜査員が盗聴していた。
 核物質の奪還を命じられたIMは、コリンズが毎朝聞く自宅のラジオをすり替え、翌朝に内部のテープで「中東の軍事的緊張が高まった」とのウソのニュースを聞かせた。
 そこに、IMFも存在を知らない弁護士のバンダーがコリンズの自宅近くの公衆電話からコリンズに電話をかけ、「自分の依頼人の米国人が某国の場額を払うから、自分達に売らないと命はないと」脅した。
 その直後、刑事に扮したウィリー(ルーパス)がコリンズの自宅に現れ、殺人容疑で逮捕すると言って車で連行し、それを見ていたバンダーは、裏で通じているセイガー警部補に電話をかけ、その車のナンバーを調べることを依頼した。
 セイガーは、ナンバーのパトカーが存在しないことを調べ、IMFが密かに借りた警察署の立ち入り禁止の一角にコリンズが連行されて行ったことを怪しんんだ。
 ウイリーがコリンズを尋問している時、ラジオでアメリカがミサイル攻撃を受けているとのニュースを聞かせ、窓の外で爆発が起きた瞬間、コリンズを気絶させて運び出したが、この会話をセイガーが盗聴していて、録音を聞いたバンダーもコリンズの移送先へ向かった。
 コリンズが目を覚ますと、そこは地震で崩壊したビルを利用して作られた軍事基地のセットの中の強制労働の部屋で、コリンズは薬品で老人の顔にさせられて、バーニー(モリス)と同室の監房に入れられ、鉄格子を通して向かいのガス室で老人たちが殺されるのを見た。
 バーニーはコリンズに、自分は戦争捕虜で、ミサイル攻撃から西暦2000年の今までの28年間戦争が続いていて、コリンズのような戦争の生き残りの老人は、まもなくガス室で殺されると言った。
 基地が敵からの空襲を受けて監房が破壊され、コリンズとバーニーは脱獄するも近くの軍の指令室にたどり着き、そこでは軍人に扮したジム(グレイヴス)たちが苦しい戦況を話していた。
 2人は捕まるが、コリンズは2日後に迫った自分の処刑を回避するために、隠したプルトニウムで核物理学者の自分が核爆弾を作れば戦争に勝つことができると主張し、ジムたちに隠し場所を教えた。
 施設の外から中の会話を望遠マイクで盗聴していたバンダーたちが隠し場所の河原に先回りすると、そこではヘイグたちが核物質を掘り出したところで、両者は撃ち合いになったが、現れたIMFが彼らを捕らえた。
 コリンズはもぬけの殻になった基地と、薬品の効果がなくなって顔面の皮膚が変化したことでだまされたと気づくが、パトカーが彼に迫っていた。
<感想>
 指令を受けてから作戦のタイムリミットまで2日ぐらいしかないのに、そんな短期間で準備が不可能な大掛かりな作戦が行われるのは、「スパイ大作戦」ではよくあるつじつまの合わない事例だが、ひとまず保留。
 その前に、タイムリミットの2日前にターゲットの電話を盗聴したのを元に、「おはようフェルプス君〜」の指令テープをその日の午前中に作り、ジムにテープを渡す役としてプロカメラマンの撮影隊まで用意するのだから、IMFの雇い主の仕事もIMFに負けずにもの凄く速い(笑)。
 ターゲットが意識を失っている間に何年も経っていて、未来にいるように思わせてだます作戦は、過去の「スパイ大作戦」にもあった。
 その回では、日付入りのニセの新聞を作ったりして、にわかに信じられないことを理詰めて信じさせようとしていたのだが、今回はほぼ台詞のみで信じさせようとしていて、物証は牢屋の壁の落書き程度。
 28年間ぶりに意識を取り戻したのが、病室とかではなく強制労働中で、「それまでずっと無意識で働いていたのか?」の疑問がわく程不自然だというのに…。
 ターゲットは物理学者だから、バレないためにはより緻密な時代考証が求められるというのに…。
 (それ以前に、ヴィク・モローが学者に見えないのも難点だけど…。)
 まあでも、つじつまが合っているかどうかより、笑っちゃうくらい有り得ないような、こんなウソのストーリーを作っちゃう面白さの方が優先するのだけど。
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 今回特筆すべきことは、「『全面核戦争を経た後の爆撃を受けている基地』のセット(劇中ではブリッジトンにある建物)」のロケ地で、崩れかけた巨大なビルの豪快な映像が活かされていた。
 IMDbによると、ロケ地はロサンゼルスのシルマーにあったオリーブビュー医療センターで、1970年に建てられたが、1971年2月のサンフェルナンド地震で損傷し、1972年にそこでロケしたとのこと。
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 冒頭、ジムが指令テープを聞く場所は、有名なサンフランシスコの「パレス・オフ・ファイン・アーツ」。
 IMFの本拠地は、劇中では明示されていないが、雰囲気的になんとなくロサンゼルスかな?と思っていた。
 ジムはテープを聞いた後、本拠地にメンバーを呼んで事前打ち合わせをしたが、今回のように時間の限られた指令においては離れた所にジムを呼ぶのは理に反するので、IMFはサンフランシスコの近くにあるのかな?
 もしくは、テープの声の主の居場所がサンフランシスコで、時間がないから近くでテープを聞かせたとか?
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 核物質は日本語吹き替えでは「プラトニウム」となっていて架空の物質かと思ったが、原語ではプルトニウムだった。
 長崎にプルトニウム爆弾が落とされてから27年も経った当時でも、「プルトニウム」は日本では一般的ではなかったのかな?