シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

『円の網』 ★☆

タイトルの読み「えんのあみ」

2017年、日本、自主映画、48分、カラー、1:1.78

監督&脚本:本村花菜

出演:鈴木睦海、竹本みき、風呂本諒亮、昇 良樹、大木康

2023/12/24(日)16:40鑑賞、2023/12/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2017入選作品

 

【あらすじ】

香澄(竹本)は美術教師の矢崎(風呂本)と付き合っているが、
無邪気な性格の妹優子(鈴木)は、「欲しいものは何でも奪って手に入れる」と思っていて、
矢崎と一緒に居る事が多くなり、、
疎外感を感じた香澄が他の男と食事しているのを見た矢崎は、
香澄を捨てて優子を選ぶ。

 

しかし、優子とは上手くいかず、香澄と復縁しようとするが、
香澄は矢崎も優子も共に関係を断つことを決めていた。

 

【感想】

特徴的なのは、人物を望遠レンズで超アップで撮影していて、
人物が動くとフレームアウトしたり焦点が合わなくなったりするので、
人物の様子が判りにくい。

 

そんなボヤっとした映像と合わせているかのように、
ストーリーもボヤっとして判りにくい。

 

でも、「好きな人に捨てられるかも」と
香澄や矢崎が考えることで緊張感が増す設定なのだから、

ボヤっとした描き方でなく、

心情が解るようにしっかりした描き方の方が良かったのでは?

 

矢崎の存在感が全くないので、

作り手が興味があるのは男ではなく、

妹のような身勝手な女の方だと思う。

『わたの原』 ★★

2018年、日本、自主映画、51分、カラー、1:1.78

監督&脚本&撮影&編集:藤原芽生

出演:村田奈津樹、大田 晃、安野由紀子、藤原亜美

2023/11/26(日)17:15、鑑賞、2023/11/26(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2018入選作品

 

【あらすじ】

 

OLのオガワケイが、祖父が住んでいた富士山の近くの空き家に来て、
長期休暇を取って、草刈りなどをしながら住むことにした。

 

祖父のアマチュア無線機を使って、自宅の監視カメラの映像を傍受しながら、
職場の同僚の田沼博文との事を回想した。

 

田沼は「変態っぽいプレイ」が好きで、
他の同僚女性とも関係を結んだと思われ、
21歳のケイにも接触してきたことが社内でバレて問題になったことがきっかけで
ケイは長期休暇を取ることになったらしいが、
ケイは田沼のことが嫌いでもなく、気持ちがまとまってないらしい。

 

久しぶりに田沼からの電話を受けて「会いたい」と言われたケイは、
家を出る事にした。

 

【感想】

 

空き家で1人暮らしするシーンの方が、回想シーンより長いと感じたが、
1人暮らしにおいてはほとんど何も起きず、
代わりに様々な事が起きたはずの回想シーンにおいては、
その出来事をはっきり描かないので、具体的な事はよく判らないという、
なんだか変な作品。

 

さらには、何かを意味しているのか、解らないシーンも多い。

 

アマチュア無線機のチューニングを合わせることで、
様々な監視カメラの映像を選んで傍受できるとか。

 

突然、念力で曲げたようなスプーンが降ってくるとか。

 

脳波を測定するような装置「YUME」を頭に付けて、ブラウン管に(ケイの)映像を写したりとか。

 

傘をさしてケイの家に来た田沼が、
傘をケイ手渡して、雨の中を帰っていったりとか。

 

2人が一緒に帰った時は、月が出ていて雨も降っていないのに傘をさしていたりとか。

 

不思議なシーンが多くて気になる。

 

映画の紹介文では
「会社での人間関係に疲れ切った現代女性の心の再生物語」
と書かれているが、
それはウソでしょ?

 

「謎展開映画」にしか見えない。

 

これを普通の映画として観てしまうと
「もったいつけた表現で、本質を突いていない映画」に見えてしまうから、
もっとはっきりデヴィッド・リンチ作品っぽくした方が、

面白さが解りやすくなったのでは?

 

「わたの原」とは海原のことだけど、

海は出てこないし、その意味もよく解らない。

『風船』 ★★☆

2017年、日本、自主映画、27分、カラー、1:1.78

監督&脚本&撮影&編集&録音:中尾広道

2023/11/26(日)16:30鑑賞、2023/11/26(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2017入選作品

 

【あらすじ】


男が自宅のベランダでフウセンカズラの苗やメダカを育て、
それらを顕微鏡で観察しては、
実が風船になって空を飛んだり、
メダカがたぬきが経営するうどん屋に行ったりする妄想をし、
自分も車でたぬきの形をしたうどん屋に行ったり、
風船まつりを楽しんだり(する妄想)をする。

 

フウセンカズラが枯れた後も、

収穫した種を育てる来シーズンが待っている。

 

【感想】

 

妄想が無限に広がっていく感覚が楽しい。

 

顕微鏡のレンズを交換することによって
「白黒」「総天然色」「フルサイズ」
と見え方が変わる事から、
「顕微鏡観察」は「映画製作」を意味していると思った。

 

自然に存在している物が映画製作に繋がって反映し、
映画を作ることで自分も新しく変わっていくということなのではないだろうか?

『ヒロシマから遠く離れて』 ★☆

1972年、日本、自主映画、2分、モノクロ、1:1.33、8mm

監督&企画:大森一樹

出演:森崎光一、園田靖夫、浜田晋作、塔本晋也、他

2023/09/10(日)13:00~

第45回ぴあフィルムフェスティバル2023、イカすぜ!70~80年代、映画監督大森一樹再発見、自主映画時代①8mm 6作品一挙上映

ゲスト:緒方明モルモット吉田

国立映画アーカイブ小ホール

 

【あらすじ】

被爆した広島での「黒い雨」を思わせるような黒いインキのしずくを、

重ねたティッシュペーパーの上に落とし、

インクが沁み込んだティッシュを次々とめくっていく。

 

【感想】

タイトルは、ベトナム戦争ドキュメンタリー映画であである

ベトナムから遠く離れて』(1967)のモジり。

 

アートっぽい、イメージ中心の作品。

『革命狂時代』 ★☆

1969年、日本、自主映画、13分、パートカラー、1:1.33

監督&脚本&製作&編集:大森一樹

出演:森崎光一、園田靖夫、浜田晋作、塔本晋也、他

2023/09/10(日)13:00~

第45回ぴあフィルムフェスティバル2023、イカすぜ!70~80年代、映画監督大森一樹再発見、自主映画時代①8mm 6作品一挙上映

ゲスト:緒方明モルモット吉田

国立映画アーカイブ小ホール

 

【あらすじ】

現代社会は音が飽和している。

でも、音を除いたりするのは安易。

という意味の字幕。

高校における日常の様子、

そして生徒による暴動(?)を

音無し&音付きで描く。

 

 

【感想】

映像がゴダール作品っぽいので、

高校生だった大森監督が、

好きな映画を作ってみたいという衝動により、

手近な自分の学校を舞台に作ってみたような作品。

『冬のメイ』 ★★☆

2016年、日本、日本未公開、21分、カラー、1:1:1.78

監督&脚本&編集:早川千絵

出演:森田夢理歌、中川七海、石井愃一、和田瑠子、手塚祐介、他

2023/03/13(月)02:00-02:30、WOWOWにて放映

2023/03/13(月)鑑賞

https://www.wowow.co.jp/detail/186710/-/01

 

【あらすじ】

少女メイが働きながら通う定時制高校には、
奨学金を親が使って授業料を滞納している友人の珠希などがいて、
授業中も疲れて集中できない生徒が多く、
メイも、食費の負担が増えることを理由に給食廃止反対の署名を集めて提出した。


夜間労働がバレて2人がクビになった居酒屋の客の男に、
夜の女のベビーシッターという高額なバイトと
さらに高額の仕事もあると持ち掛けられ
2人はベビーシッターを始めた。


ある夜、珠希がバイトから抜け出して消息を絶ち、

メイは彼女と連絡が取れなくなった。

 

【感想】

早川千絵監督の前作『BIRD』(2015)と同様に、

ストーリーが(あえて)説明不足で、ところどころ抜けているので、

その抜けている部分を、

即ち「珠希は、夜の商売(違法?)をするようになった」となどと想像して補うことになるのだが、

それは単なる思い込みで間違いの可能性もあるという危うさを感じる。

 

珠希の「身の危険」も感じる展開なので、

なおさら、ストーリーが説明不足なことによる不安定さが効くことになる。

『BIRD』 ★★☆

【原題】BIRD

2015年、フランス=ギリシャ、日本未公開、19分、1:2.35

監督&脚本&日本語字幕:早川千絵

出演:エヴァンゲリア・アンドレアダキ

2023/03/13(月)01:30-02:00、WOWOWにて放映

2023/03/13(月)鑑賞

https://www.wowow.co.jp/detail/186541/-/01

 

【あらすじ】

島に渡った女は、乗ってきて本土に戻ったフェリーにスマホを忘れたため、
現地で待ち合せていてまだやって来ない男に対し、
連絡は宿泊中のホテルにするように伝言を残し、
島をドライブして暇をつぶした。


フェリーが島に戻って来てスマホも戻り。
留守電には、男が空港から飛行機のチケットを取ろうとしている電話がかかってきたが、
相変わらず島には現れなかった。

 

ニュース番組では、死者が出た飛行機事故の原因は、
バードアタックでエンジンが故障したからだと判ったと報じていた。

 

【感想】

上記のあらすじのように、結末もハッキリと示さないだけでなく、

途中の脈絡も「脈絡がある」とはハッキリと示していないので、

脈絡があるかがハッキリしないシーンの連続を見て、

「男は飛行機事故で死んだ」などと勝手にストーリーを頭の中で構築しても、

ひょっとしたら、それは全くの勘違い(=ミスリードにだまされた)かもしれないという危うさ(=怪しさ)がある。

 

そう考えると、面白い映画に見えてくる。

 

もちろん、単に「説明的でないストーリー」を目指しただけかもしれないけれど。