シネサルの「映画のブログ」

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 『時をかける少女』(1983年) ★★★☆

 1983年、日本(東映)、カラー、1:1.66、35ミリ撮影、104分
 【監督&潤色&編集】大林宣彦 【脚本】剣持亘 【原作】筒井康隆 【製作】角川春樹 【プロデューサー】山田順彦、大林恭子 【撮影】阪本善尚 【音楽】松任谷正隆
 【出演】原田知世高柳良一尾美としのり、津田ゆかり、岸部一徳根岸季衣内藤誠入江若葉上原謙入江たか子、高林陽一、小河麻衣子、松任谷正隆、他
  原田知世がかわいい映画として人気があるようで、確かにそれは大きな魅力なのだが、この映画は思っているほど単純ではない。
  ストーリーに注目すると紛れもない三角関係(それも略奪愛っぽい)で、表面上は三人とも救われないというかなり残酷な話。
  それになんといってもあの結末(エンドクレジットではなく、画面奥に歩いていくラストシーンのこと)をもう一度思い返してみよう。
  アンハッピーとハッピー(人の想いが不可能を可能にする)の両極端なものが同居している、まれに見るすごい終わり方をしていて、映画の冒頭の「ひとが、現実よりも理想の愛を知ったとき、それは、ひとにとって、幸福なのだろうか?不幸なのだろうか?」という言葉とつながっている。
  公開当時には無かった「ストーカー」という言葉が一般的になった今の方が「不幸」の面がが解りやすいかも知れないが、大林の答えは「不幸」ではなく「幸福」の方だろう。
  『HOUSEハウス』『さびしんぼう』『なごり雪』などと通じる「片思いの幸せと不幸」の作品。