シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

 『第9地区』 ★★☆

【原題】District 9 (意味「第9地区」)
2009年、アメリカ、カラー、1:1.85、35ミリ上映、ビデオ(Red One)撮影、ドルビーデジタル/DTS/SDDS、111分、英語&南アフリカ現地語(日本語字幕)、PG12
【監督&脚本】ニール・ブロンカンプ、他【製作】ピーター・ジャクソン、他
2010/04/15(木)14:20-16:30鑑賞、WMCつきみ野8、約15人/約200席
 『ハート・ロッカー』や『クローバーフィールド HAKAISHA』と同様、フィルムではなくビデオカメラ(Red One)での撮影による荒い画質の画面でリアリティを出すことを狙っていて、上手く出来上がっていた。
 『アバター』と比べると、VFXにかけているお金ははるかに少ないと思うが、『アバター』の映像の質感が「ツルっとした」「のっぺりした」CGっぽさを結果的に払拭出来なかったことと比べると、『第9地区』のザラザラ画面の方が成功していると思う。
 『第9地区』から連想した映画は、『ザ・フライ』、『蝿男の恐怖』、『鉄男』、『AKIRA』、『天空の城ラピュタ』など。
 それらを連想したことは何も問題ないのだが、それらが揃いも揃ってコテコテのエモーショナルな強烈な見せ場の映画だったことを思えば、『第9地区』は見せ場の派手さでは負けてないが、エモーションでは遥かに劣っていた。
 その理由は、四つ巴の戦いを繰り広げているその各々の誰もが、戦う動機をきちんと描いていないので、何のために戦っているのかが実感しにくいから。
 『第9地区』は、観ていて荒っぽい印象を受ける映画で、演出が荒っぽくても構わないのだけど、登場人物の心情だけは丁寧に描いていたら、もっと彼らの身になって燃えながら観られる映画だったんじゃないかと思うと、とても残念。

 映画の舞台が南アフリカであることから、アパルトヘイトと関連付けて差別問題を扱った社会的な映画かといえば、そこまでドラマ的に深い映画ではない。

 そもそも、「人間同士」だから「差別」だと言えるのであって、「人間と宇宙人」となると関係性が変わり「差別」とは言えないことも考えられるので、それすらも「差別」と混同されかねない設定は、社会派映画とするなら避けるべきだろう。
 (もっと詳しい感想がこちらに載るかもしれない。)