シネサルの「映画のブログ」

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 2010/11/21(日)の日記 (TAMA NEW WAVE)

 TAMA NEW WAVEに、一般審査員として参加するために、昨日と同じ聖蹟桜ヶ丘駅前のヴィータホールへ向かう。
 早めに目が覚めて、10:00までの受付時間に間に合うように、早め08:30に家を出て、09:15頃に小田急永山駅に到着。
 ここから、昨日歩いた実績から、今日も歩きで間に合うことが判っていたので、バスではなく歩きで向かう。
 今日も天気が良くて、上着なしでも汗が出る。
 予定通り09:50頃に着いて、受付を済ませて、注意事項を聞いて場内に入場。
 お客さんは50人ぐらい。
 10:30から1作目の『焦げ女、嗤う』
(54分 ★☆)。
 上映前に、(以下敬称略)監督の瀬川浩志、出演の新井美穂、高木公介、よこえとも子、谷尾宏之、真柳美苗の舞台挨拶。
 女3人と男2人が、それぞれ捨てたり乗り換えたり略奪しようとしたり浮気に怒ったりのストーリーは面白い。
 でも、登場人物に面白味が無いので、どうも映画にのめり込めない。
 終映は11:30頃。
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 続いて、11:35から『ノラ』(83分、★☆)。
 上映前に、監督の大庭功睦、出演者の、なんと染谷将太君、三原康可、外間勝、そして高野七聖ちゃんの舞台挨拶。
 追われていた主人公の染谷君を男(三原)がかくまい、彼と娘(高野)が亡き妻の供養に使おうとしているボートの製作を手伝わせる。
 そして、染谷君は心に秘めた復讐を果たそうとした。
 他に諏訪太朗も出ていたり、撮影にもクレーンを使ったりで、本格的に作られている。
 しかし、主人公の心変わりと、それに影響しているはずの父娘との関わり合いあたりが弱い。
 それに対して、変に真相を伏せてミステリアスに見せようとするから、思わせぶりな映画に思えてしまう。
 終映は13:10頃。
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 3作目の開映時刻の13:50まで、コーヒーと軽めの昼食をとりにマクドナルドへ。
 会場に戻ってきたとき、小さな女の子が舞台脇の部屋に行くのとすれ違ったから、何かの作品の出演者の子役かな?と思った。
 3作目は『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』(61分、★★☆)。
 上映前の舞台挨拶は、監督の加藤行宏と、出演者のごぞんじ山田真歩、牧野琢也。
 さっきの子役か?と思ったのは山田真歩だった。
 ストーリーは、売れない劇団の女優の山田真歩が、映像の経験もないのに10万アクセスを狙ってネットドラマを作ることにし、関わった人々の善意を踏みにじり続ける。
 終盤の主人公の変化が唐突だと思ったことを除けば、テンポも良くてたくさん笑えて、ほとんど文句なく面白い。
 真歩の母親なんて、あんな強烈な出オチは最近見たことない。
 終映は14:55頃。
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 15:05から4作目『溺溺』(35分、★☆)。
 上映前に、布施直輔監督の舞台挨拶。
 ストーリーは、男子大学生の主人公がスッポン料理屋の娘の同級生に誘惑されて、彼女の所から原付で帰った時に事故を起こして、自宅で寝たきりになり、彼女が家に来て世話をする。
 男は卒業後、昔からの彼女と結婚して就職するが、営業先で女と再会し、家にスッポンを送られる。
 それを食べた後、男は鼻血を流して死んでしまうが、あの世で女とのことをまんざらでもないように思い返した…。
 日本映画学校の16mmによる卒業制作。(映写はビデオ)
 悪くない気がしたんだけど、今になってみると印象に残っていない。
 終映は15:45頃。
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 15:50から5作目の『輝け、背骨』(70分、★☆)。
 上映前に、監督の矢作(やさく)康在、出演者の津川苑葉、アンザイカオリの舞台挨拶。
 主人公の女子高生(津川)は、幼い時に姉が死んで、以来そのことが心に重くのしかかると同時に、焼き場での遺骨に興味を抱いた。
 そして、喪服買って、それ着て他人の葬式に潜り込みたいという願望を実行に移し始める…というのがストーリー。
 骨フェチ?喪服フェチ?葬式マニア?どれだろうと思っていたら、後の監督のコメントで、姉の死を意識し続けていたというのが主な動機だということだった。
 そんなふうに、動機が何か?行為に対する渇望がどんなに大きいのか?が判らなかったのが、もの足りなさを感じた要因。
 でも、結局女優賞に選ばれた津川苑葉が魅力的だったというのは、観た人みんなが思うことかもしれない。
 演技経験もなかったという彼女をオーデションで選んで魅力的に撮った監督の功績だろう。
 終映は17:05頃。
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 17:15から最後の6作目『未来の記憶』(93分、★★☆)
 上映前に、監督の岸健太朗と、助演の小林ユウキの舞台挨拶。
 かつてフリースクールの1人の生徒が、精神的に追い詰められて死んだ。
 そこの生徒たちは、自分たちの将来は未来の自分たちにとっての思い出に当たると考えていたが、そのフリースクールの先生を師と慕う男と女が、そこで新しい学校を始めようとし、その思い出を感じることになる…というストーリー。
 未来と過去を行ったり来たり、というより混ざり合っているような構成、細かいカット割りのモンタージュによる洪水のような映像、ボソボソ声が重なるナレーション等、複雑で抽象的な作品。
 受け入れられない人も多そうなこの作品が、結局グランプリを獲ったのだが、決め手は「こんな映画を作ってやろう」という意欲の強さと、それを映像の力が強い作品として完成できた力量が評価されたのではないだろうか?
 終映は18:55頃で、審査用紙に記入して休憩。
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 19:10から、6作品の監督たちと、ゲストコメンテータ―の荒戸源次郎によるトークショー
 1つずつ作品についての好評がされる。
 荒戸監督は、この場では細々語らず、最小限のコメントだけ。
 おかげで、予定より早く終わって、観客のQ&Aも受け付ける。
 終演は19:50頃で、20:10から受賞結果発表と授賞式。
 男優賞は染谷君なのはまあ妥当だけど、賞をもらうのは初めてだそうで喜んでいた。
 特別賞は『輝け、背骨』で、決め手はやっぱり主役の津川苑葉だったと荒戸監督がコメント。
 以上で今年のTAMA NEW WAVEは終演。
 もの足りないと思った映画も、観て嫌な気分がするものではなかった。
 その理由は、時々ダメな商業映画に見られる「やっつけ仕事で、見てくれだけ良く見せよう。」という意識とは無縁で、どの作品も真剣に面白いことを目指しているからだろう。

 充実の6作品だったと思う。
 20:30頃に会場を後にして、聖蹟桜ヶ丘駅のバス乗り場へ。
 昨夜、バス路線をくわしく調べて、永山駅を通るバスを特定して、それに乗って小田急永山駅から小田急で帰る。