シネサルの「映画のブログ」

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 『ブリュレ』 ★★

"brûlee"【仏】意味:「焼かれた」、「[クリーム]ブリュレ」
2008年、日、カラー、1:1.78、ビデオ上映、デジタルビデオ撮影、71分、日本語
【監督&脚本】林田賢人
【出演】中村梨香中村美香平林鯛一、瀬戸口剛、小田豊、他
2008/11/12(水)21:00-22:25鑑賞、ユーロスペース2、約205人/145席(立ち見)
 狙いは岩井俊二か?
 「雪」と「瓜二つの女性」という『Love Letter』を思わせる要素があるし、2人が列車に乗っているシーンの撮影や早いカット割りの編集も岩井っぽい。
 でもそれ以上に似ているのが、映画における「グッとくるつぼ」を押さえることに周到で、反面ディテールの整合性(話の辻褄)とかリアリティには無頓着(というより、物語重視が故のリアリズム排除)なところ。
 「つぼ」の例を挙げると、「離れていても通じ合う双子の神秘」、「炎を見ると変な気分になる」、「過去の思い出や事件のトラウマ」、「はかない命」、「逃避行」、「黒髪の少女」、「雪景色」など。
 さらに勘ぐれば、この映画のつぼの中のつぼといえる、双子の姉妹のキスシーンを撮りたいがために、その前後のストーリーを考えて1本の映画が作られたようにも思える。
 整合性とリアリティに対して無頓着なストーリーなので、ドラマとして掘り下げようがない、「物語」に過ぎないのだが、それよりもとにかく「つぼにはまる」忘れられない映画で、監督の思い入れが現れていることに好感が持てる。