シネサルの「映画のブログ」

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 『しんぼる』、エセ映画ファンと芸能メディアのおかげで大評判 ★

 松本人志監督の2作目『しんぼる』が、9月12日に封切られた。
 ちなみに、私は1作目の大日本人も観てないので、映画の内容や出来に対する感想は何も言えない。
 世評では、『大日本人』は評論家にも映画ファンにも不評だったが、興行成績は上位にランキングされた。
 『しんぼる』は、ファンの評判を言うにはまだ早いが、試写を観た評論家には不評のようだ。
 では、『しんぼる』の興行成績はどうだったかというと、興行通信社による先週末の順位は以下の通りだった。
  1位 20世紀少年−最終章−ぼくらの旗 (3週目)
  2位 ウルヴァリン:X-MEN ZERO (1週目)
  3位 BALLAD 名もなき恋のうた (2週目)
  4位 火天の城 (1週目)
  5位 しんぼる (1週目)
   :
  7位 TAJOMARU (1週目)
   :
  9位 キラー・ヴァージンロード (1週目)
 5位というと低いようにも思えるが、実際には1週目の5作品の興行収入は上映スクリーンの数に比例しているような感じで、全体的には横並だったということなのでは?
 そしてなにより、これを報じた映画関係メディアの見出しは「『20世紀少年』3週連続首位。『しんぼる』5位」というものが目立った。
 つまり、順位的には上の『ウルヴァリン』や『火天の城』なんかより、『しんぼる』の方が注目されている
 マスコミ受けの点では『しんぼる』の圧勝ということだ。
 そして、それよりさらに『しんぼる』に対する注目度が高いのが、不特定多数の映画ファンが採点する「レビューサイト」。
 一例を挙げると"CinemaScape"があるのだが、ここは唯一まともだと言えるサイト。
 ここ以外のところはというと、「お前に好きな映画があるのか?」と言いたくなるような大仰なもの言い(反面、具体的内容には乏しい)の大先生たちがあふれていたり、最高点の10点や最低点の0点を気前よく連発し合う賛否両論が当たり前(双葉十三郎先生だって満点つけたことないと言われているのに)だったりする。
 気楽な映画ファンの私にとっては、1分以上読むことは体が拒否してしまうようなところばかり。
 そんな数々のレビューサイトでの『しんぼる』の投稿状況は?と見ると、"CinemaScape"ではそれほどの数ではないが、「大先生」の多いところほど多くなっているようだ。
 「某所」などでは、最近の投稿数ランキングでは『しんぼる』が2位を大きく引き離して圧倒的人気作品
 ただし、採点状況は低得点が大多数
 このことから、この投稿者たちがどんな人たちなのかを考えてみると、以下のようになる。
  (1)とにかく、公開してまもなく『しんぼる』を観に行ったということで、「いいお客さん」であることは間違いない。
  (2)映画ファンらしいくせに、松本監督の前作『大日本人』が不評だったことも知らずに期待して観に行った「情報オンチ」?
  (3)(2)は間違いで、『しんぼる』に期待できないことを判って観に行った?
 (2)と(3)、どっちが正しいか?といえば、(2)は考えにくい。
 仮に『大日本人』の不評を知らなかったとしても、松本監督に期待する材料も持ってないはずだから。
 ということで、(3)が正しいとして以下続けると、
  (4)いい映画を期待してではなく、ひどい映画を観に行きたいと思っている「映画悪食家」
  (5)目当ては映画ではなく松本人志の方で、カリスマ的な彼の権威が崩されることを暗に望んでいて、できればおとしめる一員になりたいと思っている?
  (6)もしくは映画鑑賞は「暇つぶし」、「話の種」、「はした金の散財先」ぐらいにしか思っていない?
  (7)いずれにしろ、映画をたいして楽しみに思っていないくせに、映画の悪口を言うことは投稿の手間を惜しまないほど好き
  (8)以上のことを一言で言えば、「エセ映画ファン」「評論家気取り」?
 とはいえ、(1)に挙げたように、彼らはなにより映画産業にお金を落としてくれる「いいお客さん」。
 映画産業が映画ファンで成り立っているかといえば、そんなことはなくて圧倒的に少数派だと思う。
 だから、映画ファンだからといって、自分たちの存在を過大に思って映画を私物化するような考えは慎むべき。
 ということで、何年に1回しか映画を観に行かないような人たちも、理解不能のエセ映画ファンのみなさんも、映画の敷居を上げたりなんかしないから、『しんぼる』みたいなエサを目当てに、これからもどんどん映画を観てね。大人料金で。(と、誰かになり代わってお願いしたりする。)