『SR サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』の公開が控えている入江悠監督が、自身のブログで東京を離れることを発表。
http://blog.livedoor.jp/norainufilm/archives/51672315.html
理由は、前作の『SRサイタマノラッパー』の評判が高まってロングランが続くにつれて収入が減ったためという、常識とは逆の金銭的問題が起きたためとのこと。
しかもこれは彼の個人的な特殊事情によるものではなく、自主映画製作者にとっては誰の身にも起きることのようだ。
当事者である彼自身が出した現時点での結論が、「解決策がない」「誰かのせいに出来ない」ということなので、私がコメントするには及ばないでしょう。
でも、そうだとすると、私が漠然と考えている以下のような日本の映画産業の将来像予想が、好ましいか好ましくないかは別にして、ますますその可能性が高い気がしてきた。
【1】 現在ミニシアターで公開されているような独立系作品は、興行が厳しくなっているので、劇場公開よりコストのかからないネット配信に移行する。
【2】 【1】により、ミニシアターの閉館が相次ぐ。さらに、独立系の配給会社も作品が回ってこないため、商売が成り立たなくなる。
【3】 独立系の作品の劇場公開がなくなるので、映画興行はシネコンでの邦画メジャーとハリウッド作品のみになる。
【4】 今のシネコン上映作品の傾向が続くとすると、シネコンは映画館というより大画面3Dを売りにした「映像イベント会場」、邦画メジャー映画会社はテレビドラマのファンを相手にした「映像イベント企画会社」に変わったりして、映画とは似て非なるものにとって代わられ、スクリーンを介した映画は実質的に滅びる。
【5】 【1】のネット配信が産業として軌道に乗れば、「実質的な映画」はスクリーンを介さないネット上で発表され続けることが期待できる。
以上の予想が当たったとして、映画が【5】の状態になったとすると、その長所と短所は、
【長所】
(1)配給、上映、宣伝に関わるコストが安くなる。
(2)上映イベントをネットコミュニケーションに置き換えれば、スタッフやキャストの拘束が緩くなる。
(3)公開の地域格差がなくなる。
【短所】
(1)劇場公開にこだわる作者は、その意思が損なわれる。
まあ、この実現の可能性は、「ネット配信で商売が成り立つか?」ということにかかってくると思うけど、そこまでは判らない。