シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

『朝子と梅子と葉子の話』 ★☆

公式サイト:http://laborshortage.wixsite.com/laborshortagefilm/blank-14
2018年、日本、カラー、1:1.78、日本語、27分
【監督】山村もみ夫。
2018/11/06(火)04:00放送 TOKYO MXTV、2018/11/06(火)鑑賞
【ストーリー】
 母親が突然、離婚して父は家を出て行って自宅の2階をシェアハウスにして2人の男が住み始めると言い出した。
 驚いた3人の娘たちにも、それぞれままならない事態が起こる。
【感想】
 「小劇場の芝居の演出家が映画の監督を手掛けた」みたいなこの作風は見覚えがある。
 短い早口の台詞で会話のやりとりをし、会話の間も詰めて、そのリズムで押し切ろうとする作風。
 これをやられると、「映画を観ている」という気分は薄らいで、「脚本の音声化を聞かされてる」ような気分になっちゃうんだよなぁ。

『えんがわ』 ★★

公式サイト:http://cosmobox.jp/short/1723/
2012年、日本、カラー、1:1.78、日本語、11分
【監督】古新舜
2018/10/23(火)04:00放送 TOKYO MXTV、2018/10/23(火)鑑賞
【ストーリー、ネタバレあり】
 小学生の女の子とその両親とおじいちゃんが、庭に面して縁側がある家に住んでいた。
 新学期前に、お母さんが妊娠したことが判り、寂しがっている女の子に両親に代わっておじいちゃんが話しかけるが、彼女は相手にしなくなっていった。
 冬に妹が産まれ、体が弱っていったおじいちゃんは春に亡くなり、女の子はおじいちゃんのことが好きだったことに気づいた。
【感想】
 縁側越しに庭やご近所が見える部屋にカメラを据え置きににし、春、夏、秋、冬、春の5つのシーンをオーバーラップでつないで、パッと見だと全編ワンカットに見える作品。
 ストーリーはささやかで、映像的にも素っ気ないのが、11分の尺の作品にとってはそれらがピッタリだと思った。
 でも、これは「ワンカットに見える」というアイディアありきで、それが先行している作品といった感じかな?
 秋の季節感を紅葉で表しているのだが、庭の草木はともかく、隣の家やもっと遠くの木まで色づいていたのは、どうやったのだろう?
 ロケは夏だそうだから、緑色を色調整で黄色にしたのかな?
 まぁ、紅葉した葉っぱが冬のシーンで散らずに緑色で残ってるのはミスなんだけど、そこまで要求してなくて、ちゃんと紅葉させたことの方がエラい。 

『洗濯機は僕らを回す』 ★★☆

公式サイト:http://cosmobox.jp/short/1724/
2014年、日本、カラー、1:1.85、日本語、14分(エンドクレジットが短い)
【監督&脚本】古新舜
2018/10/23(火)04:00放送 TOKYO MXTV、2018/10/23(火)鑑賞
【ストーリー、ネタバレあり】
 洗濯屋の男が、お見合いに行くために最寄りのバス停へと急ぐが乗り遅れてしまい、仕方なく田舎道を走って行き、道端に捨ててあった洗濯機にもたれて休むと、中にハマって抜け出せなくなった。
 通りかかった女に助けを求めるが、その女は見合いの相手だと男は気づき、見合い写真の美女とは似ても似つかないことに驚いた。
 しかし、男もツルッパゲを隠しているカツラが洗濯機にハマったはずみで吹き飛んでいて、2人は正直な気持ちになって会話をはずませていった。
【感想】
 短編映画が個人的に苦手なのは、長編に比べてストーリーがボリューム不足で物足りなく感じるところ。
 それなら、ストーリー性や細部のつじつまとかは差し置いて、乗りや勢いで押しまくる方が良さそうで、この作品もまさにそんな感じ。
 バスに乗り遅れた理由が乏しくワザとに思えるくらい無理やりだったり、見合い相手が近所にいるのも都合が良過ぎるのだけど、そんなデタラメもむしろ「作品の突っ走ってる感と、観ている気分の良さの方を優先してる意図」の強調の為にプラスに働いていると感じた。
,

『Super Star』 ★★

公式サイト:http://www.shortshorts.org/japankorea/superstar/
2011年、日本、カラー、1:1.78、韓国語&日本語、19分
【監督&脚本】萩原健太郎
【出演】櫻井淳子、キム・ウンス、他
2018/10/23(火)04:00放送 TOKYO MXTV、2018/10/23(火)鑑賞
【ストーリー、ネタバレあり】
 敏子(櫻井淳子)は、熱狂する韓流スターのファンミーティングに行ってプレゼントを手渡しするためにソウルのホテルにいたが、寝過ごして慌ててタクシーを拾って会場に行ったら、すでに終わって立ち去った後だった。
 彼女は乗って来たタクシーでスターがよく立ち寄る場所を回り、言葉が通じなくて狼狽する彼女に、ドライバーの中年男性(キム)も付き添って助けた。
 結局会えずに、スターゆかりのバーで途方に暮れる2人だったが、個室にスターが居ることに気づき、彼にプレゼントを渡しにいった。
 スターは受け取ったが、敏子はなぜかガッカリしし、実はタクシーではなく教習車で、教官だったドライバーの親切に気づいた。
【感想】
 日本の観光庁が、日韓の監督にそれぞれ相手国を舞台に作品を作らせた企画なので、観光振興目的でもある。
 短編映画はやはり、始まって早々にトラブルが起こって、そのまま速いテンポで最後まで突っ走る「1巻物のサイレント喜劇」みたいな展開の方が時間的な収まりが良く、この作品もそんな感じ。
 ただし、熱狂的韓流スターファンの主人公のキャラは異常で、登場人物のやりとりも言葉が通じずののしり合っているようなシーンがずっと続くので、(あえてそうしたのだろうが)イライラしながら観て疲れた。
 そして、クライマックスも主人公が「何をきっかけに」「どのような心変わりをしたのか」の具体的なことがほぼすべてバッサリと省略されていたので、そのあいまいさにも惑わされた。(スターの一見フレンドリーな対応が、実はビジネスだと一瞬の表情から感じ取ってしまって想いが冷めた、とかだと思うが。)
 イライラ感やあいまいさは、作り手の狙い通りなのだろうけど、結果的にはそれによって作品との距離が遠くなった感じがした。
 なにより、観光振興目的には合致してないような…。

『ミックス』(2015) ★☆

公式サイト:https://www.facebook.com/MIXShortMovie/
2015年、日本、カラー、1:1.78、日本語、24分
【監督&脚本】松本動
【出演】咲音、古澤裕介、他
2018/10/16(火)04:00放送 TOKYO MXTV、2018/10/16(火)鑑賞
【ストーリー、ネタバレあり】
 5歳の女の子の夕日(咲音)は、一人で目覚まし時計で目覚めて、リュックを背負って家を出て保育園を通り過ぎ、別れた父親と行った思い出の場所に行って父を思い出そうとしたが、行き方が判らず河原で途方に暮れていた。
 そこに、離婚した元妻子から養育費の催促を受けているオジサン(古澤)が通りかかって彼女を気にかけて話しかけ、富士山の絵を見てその場所に連れて行ってあげることにした。
 2人は、絵に描かれた展望台に行き、その後やはり父と行ってアイスクリームを食べた思い出がある湖畔の店に行った。
 しかし、そこに刑事たちが現れて、オジサンは誘拐容疑で拘束され、保護された夕日はパトカーの中で泣きじゃくった。
【感想】
 咲音が夕日を演じる短編作品を、彼女が20歳になる15年後までに5年毎に4作品撮り、最終的に編集し直して1本の長編作品にするという、『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)的なプロジェクトの1作目。
 でも、このやり方って、そんなに効果があるのかが上手く実感できない。
 人生、明日にでも何が起こるか判らないから、別な俳優で一気に完成させちゃう方がリスクが少ないと思うが。
.
 クレジットを除いた尺が22分なので、単純計算だと約90分の短めの長編になるが、実は短編版はかなりのシーンを端折っていて、もっと長い長編になるのではないかと思う。
 その理由は、展開が唐突で抜けている情報が多いと感じたから。
 夕日ちゃんのお母さんはどこにいるの?
 スーツ姿で外出して夕日ちゃんに付き合うことに予定を変更したオジサンは、どこに行こうとしてたの?仕事をサボったの?
 オジサンは、夕日ちゃんの絵を見ただけで、なぜ彼女がそこに行きたがってると気づけたの?
 刑事は何故2人の行動と夕日ちゃんの名前を知ってたの?(まるで誰かが通報したかのように)
 普通は警察官が対応するような現場に、なぜ刑事(それもいかつ過ぎる感じの)が現れたの?
などなど。
 これらとは別に、「離婚してからしばらくたっていたので、2人とも所見では気づかなかったが、オジサンが夕日ちゃんの名札の名前を見て実の娘だと気づいた」かもしれないと思って観ていた。
 それに関しても情報不足(もしくは敢えて隠した)で、親子か他人か判別できないままの時間がしばらく続き、夕日ちゃんの父親との思い出の場所にオジサンは行ったことがないみたいだったことで、やっと他人だと判った。
.
 あと、ストーリーが『シベールの日曜日』とそっくり。
 仮にパクったとしてもそれが悪いとは思わないが、似ていると気づいたらどうしても比べてしまう。
 比べられる作品が名作中の名作だったりすると、分が悪いだけで良いことは何もなさそうなので、偶然であっても似てしまうのは避けた方が良いかな?
.
 そんな感じで、つまらなかったというより色々と細かいことが気になり過ぎた。
 この作品の本番は、あくまで2030年完成予定の長編版の方かもしれない。
.
 1日で全編撮影したと思うが、最初はてるてる坊主がぴったりくる曇り空だったのが、肝心の富士山の方に行ってからは天気が良くなった。
 ただ、富士山が雲に隠れていたのは残念だったかな?

「我愛你 in TOKYO」前編&後編 ★★

公式サイト:http://kotonagata.com/japanese/works/s_work18/
2013年、日本、カラー、1:1.78、日本語&英語&北京語、前編:17分/後編:16分
【監督&脚本】永田琴
【出演】古川雄輝 ルゥルゥ・チェン(程予希)、他2018/10/02(火)04:00放送(前編)、2018/10/09(火)04:00放送(後編)、TOKYO MXTV、2018/10/09(火)鑑賞
【ストーリー、ネタバレあり】
 日本に住む彼氏を訪ねて台湾から来たチャーファ(チェン)は、家の場所が判らず、飛び込んだ自転車屋で働いていて英語を話せる保(古川)が彼女を家まで連れて行った。
 翌日も自転車屋に現れたチャーファは、彼氏と台湾で自転車に乗る為に、自転車のパーツを買ってその組み立て方を教えてくれるよう保に頼んだ。
 台湾に帰るチャーファの置き手紙に、「一目惚れした保に近づくために、彼氏がいると嘘をついた」と書かれていたのを保が目にした。
 保が送ったメールを、台湾でチャーファが受け取った。
【感想】
 ネスレのサイトで公開されるためのショートムービーなので、大前提として当たり障りのない出来上がりになっている。
 即ち、いろんな意味で「甘い」作品で、気まぐれと強引さ男を振り回す女と、それに付き合う優しい男という、甘い設定で突き進んじゃうのが可愛らしい。
 約30分の尺に、ストーリーとテンポが合っていた。

「スパイ大作戦『王冠すりかえ(王冠すりかえ大逆転)』」 ★★

【原題】Imitation(意味「模造品」)
シーズン7、第22話
1973年、アメリカ、カラー、1:1.33、35mm、英語、吹替、約47分
【監督】ポール・クラスニー【脚本】エドワード・J・ラクソ【エグゼクティブプロデューサー】ブルース・ゲラー
【出演】ピーター・グレイヴス、グレック・モリス、リンダ・デイ・ジョージ、ピーター・ルーパス、他
2018/08/07(火)17:58再放送、BSジャパン、2018/08/07(火)鑑賞
<ストーリー>
 国連ビルで展示するために某国の領事館から輸送された王冠と宝石が強奪された。
 容疑者の女ジェナから3日以内に王冠を奪還することをジム(グレイヴス)は命じられた。
 バーニー(モリス)は、刑務所で処刑されたジェナの弟の刑務所仲間に成りすましてジェナのクラブに行き、犯行の元手の金を借りたいと言った。
 ジェナは応じて金庫を開け、バーニーは遠隔装置で金庫のナンバーを傍受した。
 その夜、王冠と宝石を買い取るシンジケートのスティーヴンソンがクラブに来ていた時に、バーニーが忍び込んで金庫を開け、金を盗んで金庫を開けたまま出て行った、
 ジェナは警察の指紋係に金庫を調べさせ、バーニーが盗んだとわかって、仮釈放中の彼が滞在中のホテルに部下を行かせたが留守で、部屋には領事館の金庫の地図や金庫破りの道具ががあった。
 彼らがホテルを出ようとしたところ、バーニーを訪ねてきた男に扮したジムがフロントに現れ、部下がジムを尾行した後、ジェナのところに連れて行った。
 ジムはジェマに「借金の取り立てのためバーニーに会いに行った」と言い、彼が金儲けを企んでいるらしいことを漏らした。
 IMFは領事館に「王冠は偽物で、使者が本物を届ける」という偽の暗号文を送り、それを受け取った保安課長のダンソンは、通じているジェナに暗号文を報告した。
 ジェナは、なじみの宝石商のカーターのところに盗んだ宝石を1個持って行って鑑定を依頼したが、IMFはカーターを拉致してメンバーのデュバルが変装していて、彼は偽物とすり替えて「宝石は偽物だ」と言った。
 ジェナはバーニーと協力して領事館の金庫から王冠を盗むことで話をつけ、ブローカーのジムが買い取ることをバーニーが希望した。
 使者に扮したウィリー(ルーパス)が、探知電波発信機付きのケースに入れた偽の王冠を領事館に運び、金庫に保管された。
 夜、バーニーが領事館へ忍び込み、ダンソンが見守る中、ケースの発信機と交信して金庫の番号を読み取って金庫を開けて王冠を盗み出し、ジェナのところに持って行った。
 ジェナはジム以外に買い取らせることをバーニーに頼んだが断られ、ジェナは強奪した王冠とすり替えてバーニーに渡した。
 バーニーが出て行ったところにスティーヴンソンがやってきて、王冠を見て偽物だとわかり、そこに警官隊が突入して一網打尽になった。
<感想>
 シーズン7の第22話で、「スパイ大作戦」もついに最終回。
 初期の作品に比べると、この作品も他の後期の作品と同様に「スパイ大作戦」ならではの作戦のち密さや大胆さが大幅に後退し、独特の魅力はすっかり失せてしまった。
 それでも、この作品は「金庫破り」という、初期にはよく見られたストーリーの要素を含んでいて、やはりそうした設定は面白さにつながると改めて思った。