シネサルの「映画のブログ」

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 2008/11/23(日)〜2008/11/24(月=休)の日記 (『年々歳々』『約束の地』『はじめての家出』『かさぶた姫』、TAMA NEW WAVE)

敬称略で失礼します。
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【11/23(日)】
 「映画祭TAMA CINEMA FORUM」の、「それぞれの旅立ち -特別プレビュー上映特集-」へ。
 いいかげん、全国公開されているテレビドラマ系の邦画や、ルーチンワークのような演出の邦画に嫌気が差し始めてきたので、青田買い気分で新人監督の映画でも観てみようと思ったのだった。
 それに、明日のコンペの一般審査員になっていることもあってタダでみれるし。
 会場は多摩市の行ったこともない聖蹟桜ヶ丘の駅前にあるヴィータホールで、多摩線小田急永山で降りて、聖蹟桜ヶ丘行きのバスに乗って行く。
 バス停への行き方やバスの乗り方など、判らないことがいろいろあってウロウロオロオロし、バス停で降りても方向が全くわからずウロウロキョロキョロ。
 開演時刻11:00の20分ぐらい前に会場そばに着いたので、コーヒーをテイクアウトして飲みながらヴィータホールのある駅前のビルの8階にどうやって昇っていくか?昼飯を食べるところがないか?調べながら受付に行き、入場前に持ち込み禁止のコーヒーを急いで飲んで、口の中を軽く火傷する。
 入場のときにもらったチラシではじめて判ったのだが、今日上映される作品は、来年1月下旬から渋谷シアターTSUTAYAでレイトショー公開される予定のavex ニュースター・シネマ・コレクション」の5作品のうちの4作品なのだった。
 開演の挨拶に続いて、『年々歳々』(★☆)の上映と、それに続いて安達正軌監督と出演者の江野沢愛美、差出瑞貴、田中柚里佳(3人とも「avex俳優・タレント・モデルオーディション2007」合格者)の舞台挨拶。
 中学生役は、実年齢が上の俳優が演じることが多いのだが、この映画の主役は小学生モデルの江野沢ちゃんで、ひときわ芸能人オーラがあった。
 終映後は昼食時だったが、休憩時間の長さが中途半端だったので、店には入らず近くのコンビニでおにぎりを買って1個食べて会場に戻る。
 ここで機材トラブルで2本目『約束の地』(★)の開映が遅れ、結局直らずDVDでの上映になった。
 『約束の地』は『年々歳々』以上にかなり今いちで、そのうえ何か飲み食いしたい気分になったりで、久しぶりに客席に座っていることが拷問のように感じられて、やっぱり新人監督の映画は観るもんじゃなかったか?と後悔し始めた。
 上映後、監督の加納周典と出演者による舞台挨拶に続いて、3本目の『はじめての家出』(★★☆)でやっと拷問から解放された。
 やっぱり、単に「新人監督」とかのくくりだけで判断してはダメで、人それぞれということだろう。
 『はじめての家出』は、残念ながら傷のついたDVDを再生したときのような音トビやブロックノイズが時々見られる状態での上映だった。
 終映後、監督の菱沼康介と出演者の金澤美穂、斉藤リナ、米村美咲の舞台挨拶があり、続いて最後4本目の『かさぶた姫』(★★)。
 そして、終映後に監督の三城真一と出演者の近野成美相葉弘樹高山都の舞台挨拶。
 近野成美ちゃんだけは、今回の上映作品の主要出演者の中でどこかで見たことのある人だった。
 以上、上映トラブルに加え、舞台挨拶があるとどうしてもスケジュールが押し気味になるので、予定では19:10ごろ終演だったのが20:00ちょっと前になった。
 会場を後にして駅前のバスターミナルに行き、永山駅行きのバスはこの時間帯は本数が少なくて当分来ないので、多摩センター行きのバスに乗って小田急で帰る。
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【11/24(月=休)】
 邦画青田買い活動の一環で、TAMA NEW WAVEのコンペの一般審査員の応募したらパスしたので、昨日と同じ聖蹟桜ヶ丘ヴィータホールへ。
 集合時刻10:00の30分ぐらい前に会場近くに着いたので、腹ごしらえとコーヒーを飲んでから会場に行く。
 審査方法の説明を受けたりしながら、10:30から1本目『茜さす部屋』(★★☆)の上映が、星崎久美子監督、主演の崔哲弘、撮影の船木賢悟の舞台挨拶に続いて始まる。
 劇中登場する業務用のトラックが、「わ」ナンバーなのはご愛嬌。
 10分間の休憩を挟んで、続いて2本目『へばの』(★★)の上映が、プロデューサーの桑原広考と主演の長谷川等の舞台挨拶に続いて上映。
 監督の木村文洋は、エジプトの映画祭に出席中で欠席。
 この映画、いろんなところでリアリティをあえて無視しているか、意識的に象徴としてウソを描いているか、或いはかなり無頓着であるか、と思われる。
 数年数ヶ月の話なのに、常に雪景色なのは地方の象徴?
 吹雪いている夜に窓ガラスの無い蔵の中で全裸でセックス。
 その他、多数の細かい部分。
 見応えはあったけど、つかみにくい映画だった。
 昼食休憩の後、3本目『ハロー、グッバイ』(★☆)が、監督の江藤有吾と出演者の高橋真由美と撮影の石出裕輔の舞台挨拶に続いて開映。
 高橋さんも本編を観るのが今日初めてとのことだったが、終映後客席から出るとロビーでもう1人の主役のKi☆Kiちゃん(モデル&女優のKIKIさんとは別人の女の子)を見かけた。
 続いて4作目『CHAIN』(★★)の上映が、監督の加治屋彰人と出演者の渡辺みなみの舞台挨拶の後に始まる。
 オチをバラすとこの作品がグランプリを獲ったのだが、唯一のフィルム(16mm)作品で、構図やカット割りや出演者の演技の映像が普通の映画と比べて遜色なかったことが受賞の決め手だろう。
 遜色無さ過ぎて引っ掛かりが無いから、逆に普通の映画として普通に観てしまった。
 続いて、最後の作品『太陽が嫌い』(★★)が、監督の松村慎吾と出演者の牛腸和裕美、門林渉、薮本悟司、の舞台挨拶に続いて始まる。
 この映画は主役の廣末哲万も含めて本職の俳優が出てない映画だそうだが、彼がからんでいるだけあってしっかり作られた映画だった。
 上映が終わったところで投票用紙に記入をすませて係員に手渡し、続いて監督たち5人と、冨樫森監督風間志織監督を交えてトークショー
 それぞれの作品に対して2人の監督の忌憚のない講評が寄せられた。
 『茜さす部屋』に対して、冨樫監督が「前半シリアスだったのに後半コミカルになったのに戸惑った」といったコメントを言っていたけど、そうかな?
 私は前半からコミカルだと思っていたけど。
 なんたって主役の吉本菜穂子って面白い顔(誉め言葉)をしているし、「いいわねぇ、派遣はのん気で」みたいなことを派遣社員の当人に言っちゃう変な上司も出てきたりするし。
 盛りだくさんの内容であっという間にトークが終わって、集計結果が発表されて表彰式。
 それにしても、冨樫監督を初めて見たのが、ちょうど10年前の彼のデビュー作『ポッキー坂恋物語 かわいいひと』上映後のトークショーで、そのときは相米慎二監督から『かわいいひと』の新人監督3人の中の1人としてコメントされていたのだが、それが今では冨樫監督が若手にコメントしているということに10年の時間を感じた。
 そして、全日程が終わったのが20:00ちょっと前で、この後実費で参加できる居酒屋での懇親会があったのだが、映画のプロやセミプロや自主映画関係者などが多いように感じられた参加者たちの中には、さすがに単独行動の1観客に過ぎない私は、特に誰とも接することなく会場を後にした。
 1人、『ブリュレ』に出演していた平林鯛一さんらしい人とすれ違って、声をかけてみても良かったのだが、そのときは時間がなくてそのままで、その後見かけることはなかった。(後日、彼のブログを見ると、やはり当日一般審査員として参加していたとのことだった。)
 このような企画に初めて参加してみて、数名を除いて名前すら知らない人たちばかりによる映画作りなのだが、普通の邦画よりもよっぽど真剣で、自分を欺いてよく見せようとか、見る者に対してウケ狙いをするとか、そんな要素は一切無かった。
 本当に、こういう心意気を持った人たちが邦画の前面に出てくれば、観る者の心をつかんで放さないような、興行の数字だけでない真の邦画優勢の状況になるだろう。
 ただ1つ難点を言うと、これは誰も悪くないのだが、「自分探し」「コミュニケーション不全」「社会性欠如」みたいな、小さい世界の人間関係の映画が多かったのには、さすがに他のタイプの映画も観たいという重いがよぎった。
 昨夜と同じバスに乗って自宅に帰る。