(下記以外の結果等参照:http://www.ceres.dti.ne.jp/~kwgch/movie_misc.html#award_2008)
【優秀作品賞】
おくりびと(★★)
母べえ(★★★)
クライマーズ・ハイ
ザ・マジックアワー(★★)
容疑者Xの献身
【優秀監督賞】
滝田洋二郎「おくりびと」(★★)
中島哲也「パコと魔法の絵本」(★★★)
原田眞人「クライマーズ・ハイ」
三谷幸喜「ザ・マジックアワー」(★★)
山田洋次「母べえ」(★★★)
【優秀主演女優賞】
木村多江「ぐるりのこと。」(★★★☆)
仲間由紀恵「私は貝になりたい」
広末涼子「おくりびと」(★★)
吉永小百合「母べえ」(★★★)
吉永小百合「まぼろしの邪馬台国」
【優秀主演男優賞】
佐藤浩市「ザ・マジックアワー」(★★)
堤真一「クライマーズ・ハイ」
松山ケンイチ「デトロイト・メタル・シティ」
本木雅弘「おくりびと」(★★)
役所広司「パコと魔法の絵本」(★★★)
【優秀助演女優賞】
樹木希林「歩いても 歩いても」(★★★)
壇れい「母べえ」(★★)
松雪泰子「デトロイト・メタル・シティ」
松雪泰子「容疑者Xの献身」
余貴美子「おくりびと」(★★)
【優秀助演男優賞】
浅野忠信「母べえ」(★★★)
堺雅人「クライマーズ・ハイ」
堤真一「容疑者Xの献身」
寺脇博文「相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン」(★★)
山崎努「おくりびと」(★★)
【新人賞】
小池徹平「ホームレス中学生」(★★★)
松田翔太「イキガミ」
アヤカ・ウィルソン「パコと魔法の絵本」(★★★)
長渕文音「三本木農業高校、馬術部」
福田沙紀「櫻の園-さくらのその-」
吉高由里子「蛇にピアス」
【優秀外国映画賞】
最高の人生の見つけ方
ダークナイト(★★★)
ノーカントリー(★★★☆)
ラスト、コーション(★★★)
レッドクリフPartI(★★)
キネ旬の12月下旬号での亀山千広×奥山和由の対談で、フジテレビの亀山氏が
「映画をヒットさせている人たちもそうでない人たちも、今の日本映画は危ないと思っている。テレビの宣伝力などを利用して映画をヒットさせる方向性がやばいところにきている。人材を育てたり、若い人に門戸を広げたり、映画監督たちとぶつかり合って映画を作っていかなければいけないと思っている。」
といった意味のことを語っていた。
亀山氏といえば、ザックリと言えば映画の出来を良くすることによってではなく、テレビなどの宣伝力を利用したプロモーションによって大衆を動かして(=いいようにだまくらかして)ヒットを作り出してきた人。
そんな、日本映画界で一番ウハウハで調子に乗ってもいいような人ですら、今の日本映画には危機感を感じている。
さらに映画の将来の危機を示す客観的な数字として、映画館1館当たりの動員数が落ちているとか、若い人たちの映画離れとかが指摘されているし、違法アップロードや海賊版の問題もある。
そんな状況だというのに…、なんだなんだ、この危機感の感じられない選考は!
日本アカデミー賞を選んでいるのは映画産業に携わっている人たちで、日本映画の危機を一番深刻に感じなければいけない人たちのはずなのに、自分たちの商売の鍵を握っている大衆に対して、映画人からのメッセージを放つ絶好の機会であるはずの日本アカデミー賞に、何のメッセージも込めてない、何の変化の意志も示せないなんて。
この選考結果から感じられるメッセージは、2008年の日本映画は優秀作品賞などに選ばれた、既にある程度名の知れた5、6作品程度で代表されるような、こじんまりとした何の新しさも感じられないということになると思うけど、それでいいのか?
むしろ『ぐるりのこと。』(★★★☆)、『歩いても 歩いても』(★★★)のような作品を優秀作品賞に選んで、日本映画にはまだまだ隠れた傑作があって、層が厚いことをアピールすべきではないのか?
『ぐるりのこと。』なんか、30秒ほど映像を流すだけで、映画がテレビドラマなんかよりはるかに画面の発する力が強いことをまざまざと見せつける映画だというのに。
新たな映画ファンの掘り起こしに真剣にならなくちゃいけないんじゃないのか?
映画人口が減って映画産業がダメになったら、今映画で儲けて調子に乗って映画を量産しているような映画会社から真っ先に傾くことになるんだからね!
こんな選考をこれからも続けるのなら、日本の映画人は映画産業がこのまま衰退していっても構わない、つまり自分たちの仕事が無くなって家族もろとも野垂れ死にたいってことなんだろうと思うことにします。