「ムービーアイ、破産」のニュースに衝撃を受ける。
最近、大きめに報じられる芸能ニュースがいくつかあって、世間では2chをダウンさせるぐらい話題になっているらしい。
(ネットメディアの代名詞のような2chも、しょせん既存メディアの後追いで騒いでるような暇人の受け皿でしかなく、日本のネットはメディアとして自立していないってことがこんなことでバレちゃうなんて、ねー。)
でも、正直芸能活動が活発でない人の事件なんて、他所への波及はゼロに等しいから、全然大したニュースだとは思えない。
対して、ムービーアイは1〜2ヶ月ぐらいに1本の割合で配給作品を観ていたくらいだから、影響の大きさが全く違う。
報道によると、先行して作品の買い付けを行っていたところに資金繰りが悪化したための破産らしい。
ムービーアイは、全国規模で公開する作品を配給するようなアメリカなどの大手とは違って、ミニシアターで上映する作品などを独自に買い付けて配給するような会社で、それが破産するということは、ミニシアター向けの映画が減ることになる。
そしてムービーアイだけではなく、GAGAやSPOといった会社も最近買い付けから撤退していて、ミニシアターにとって苦しいこの傾向がますます進むことになる。
(エイベックスが買い付けに乗り出したという例外もあるけれど。)
もっとも、ミニシアターに行き続けていた人なら気づいているかもしれないけど、以前と比べて観客数も減っているのか、ミニシアター系作品に対する注目度が下がっているのか、活気がなくなったと感じている。
その結果、ミニシアターの動員が減って配収も減ったことで、買い付けが行き詰って撤退が相次いだとも言えるかも。
どちらがニワトリでどちらが卵かはともかく、ミニシアターにとっては益々苦しい状況になってきた。
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ところで、最近の経済ニュース番組なんかで、最近の映画産業について某エンタメ情報雑誌の編集長が語ったりしているのを観たりする。
要点は以下の通り。
(1)邦画がシェアを50%以上にまで伸ばし続けていて、好調。
(2)世界的にシェアを落としているハリウッド大手が、日本も含めて現地で映画を作り始め、ヒット作も出てきている。
(3)3Dを上映できる映画館が増えてきて、今後3Dがセールスポイントになる。
(4)20代はデート需要としての映画が見放されていることもあって映画を観なくなっているが、10代は『ROOKIES』のようなテレビドラマの映画化などを観に来てくれ、それ以上に50代以上の観客が伸びている。
私は以前から、「映画を巡る状況は危ない」といい続けていて、実際ムービーアイはその通りのことが起こったのだが、そのようなテレビでは「将来は明るい」といった内容のことしか言わなかった。
悪い状況は何も感づいていないほど目は節穴なのか?(映画について語るくせに、ミニシアターにもろくに行ってないとか?)
判ってはいてもあえていいことしか言わなかったのか?
業界の動向についての特集で、悪材料を伏せて好材料だけ挙げていくのは、経済ニュースとしてあるまじきことだと思うが。
それとも、エンタメ情報誌の編集方針が身について抜けないのだろうか?
情報誌って、結局「はやりすたり」の尺度でしか物事を見ていない。
これから流行りそうだと思ったものにはとりあえず乗っかって、あおることで注目度を上げて商売に結びつけようとしているだけ。
そして、廃れたと思ったものには、あっさり見放してしまう。
だから、エンタメのファンや普通のお客さんの望むものは、彼らの言動と一致するものではなく、一致させる必要もない。
例えば、(1)は日本映画の発展のように思えるが、特にハリウッド映画の没落という方が正しいのは誰だって感じている。
それに、金額で比較しているだけだから、質の優劣とか向上などを表しているわけでもない。
実際、(2)のようなハリウッドメジャー製の邦画は、ヒットはしても出来の評判が良くないものが多数ある。
(3)が実際に起こったからといって、将来シネコンがハリウッド製の3Dアニメのような上映作品だらけになるとしたら、そんな状況って本当に望ましいだろうか?
(4)に至っては、50代以上をターゲットにすれば動員を増やせるとでも言っているのだろうが、短期的にはともかく、長期的には映画人口が激減することが予想されるので、全然いいニュースではない。
それに、産業として以外に、映画に対する愛情とか文化としての認識があったら、若者の映画離れは最大の問題点だと思って当然のことである。
それなのに、情報誌がそんな危機感を感じているそぶりすら見せないのは、映画が滅んだらその時は女子高生の流行とかの他のものに乗り換えればいいだろうぐらいにしか思ってないからだろう。
本当に、ろくでもない存在だと思う。