【原題】Starship Troopers(意味「宇宙騎兵隊」)
1997年、アメリカ、カラー、1:1.85、129分、英語(日本語字幕)
【監督】ポール・ヴァーホーヴェン【原作】ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」
【出演】キャスパー・ヴァン・ディーン、ディナ・メイヤー、デニース・リチャーズ、ジェイク・ビューシイ、ニール・パトリック・ハリス、クランシー・ブラウン、マイケル・アイアンサイド、他
2013/11/26(火)、WOWOW放映
<ストーリー>
未来の地球は何万光年も離れた星と戦争状態にあり、若者たちは市民権獲得を目指して兵士に志願し、敵の星の乗り込むと、巨大な昆虫型の無数の敵と壮絶な争いになった。
<感想>
ヴァーホーヴェン監督ならではの、エロ、グロ、ブラックユーモアを含む露悪趣味がさく裂しているが、彼のなら大歓迎。
本作が皮肉っているのは、戦争に関する聖なるイメージ。
それは、自分の故郷や仲間を守るために命を投げ出す勇ましさ。
敵すなわち「悪」を憎む正義感。
敵を倒す「力」を持つ者こそ優秀。
自分たちの勝利を信じる「真っ直ぐな心」。
本作の登場人物たちは、以上の事は正しい人間のイメージであるとバカみたいに信じ切っている。
その反面、そもそも何のための戦いなのか?何を最終目標として戦っているのか?などの本質的な考察はスッポリ抜け落ちている。
固定観念を信じ切っている思考停止の状態で、戦闘意欲だけは強い、まるで誰かにとって都合のいい戦闘マシンのような人々で占められた作品になっている。
「現実に向き合おうとせず思い込みを信じ続ける」「クソ真面目に勧善懲悪を目指す」の2つが結びついた人間こそ、戦争を後押しする最もロクでもない存在ということなのだろう。
そのことを訴えるために、「真面目」に対しては「フザケ」、「聖なるイメージ」に対しては「下世話な描写」をぶつけて、バカにしながら批判しているように見える。
反戦映画といえば、戦争が続いて人々が悲惨な目に遭って、「戦争は嫌だ。戦争反対。」という被害者意識によるモノが多いが、本作のように調子に乗った人々が戦争へと突き進む様子を描いてこそ、戦争回避の参考に出来る真に有益な反戦映画で、この点では前者は何の役にも立たず厭戦映画止まりである。
これだから、役に立たない綺麗ごとの人より、一見悪趣味なヴァーホーヴェンの方が何といっても好き。
あえて難点を言えば、まだ悪ふざけが遠慮気味に感じられること。